蘇州川は延々と流れ、リンクされている浜辺の川岸はこの都市の移り変わりを記録している。うち、静安区間にある川岸の全長6.3キロメートルで、合計50万平方メートルの歴史建物を繋いでおり、上海中心市街地独自の「一河両岸、中洋折衷」の水辺活力中枢である。
都市更新を通じて、両岸でますます多くの「眠っている」公共空間が蘇らせ、人気を集めながら温もりをくれている。そこに暮らす人々は、昼夜移り変わりの中で、生き生きとした生活の息吹とカラフルな都市の色彩を感じている。
朝
橋の下の「眠っている」空間を蘇らせる
頭上から車の流れが止まらず、橋の下の空間には特別な風貌がある。福新小麦粉第一工場の跡地に隣接した共和新路橋の下にあるこの「潮涌蘇河」スポーツ空間には、多元的、トレンディなスポーツの運動場がそろっており、一枚一枚のカラー壁画に人文の息吹が吹き込まれている。
朝早くから、おばちゃんやおじいちゃんたちはブレイクダンス台で八段錦(中国伝統的なフィットネスの一種)を打ち、外国人の友人はオーバーパンツと靴を身にまとい、スケートボードエリアで自由に飛び乗り、若者はバスケットボール場でクロス、パス、ターンしてシュートする様子が見える。片側の市民ステーションには、公衆トイレ、直接飲用水スポット、座席などの付属サービス施設があり、運動する住民に十分な便宜を提供している。
蘇河北岸に位置するこの橋の下の公共空間は、敷地面積が約11000平方メートルで、以前は主に道路駐車に使われていた。以前はほこりだらけの鉄筋とコンクリートによる「灰色の空間」だったが、更新・改造を経て、今は都市のスポーツ文化イベントの集積地に変身した。
空間を立体化、最大化利用するため、橋の下には架空2階の観光屋根付橋が作られており、廊下の両側のガードレールはまるで都市の交響曲を演奏しているかのように起伏の高低差のラインを呈している。「廊下に立って運動場を見下ろすと、一目で見えます。夜にはダイナミックにランナップする景観照明もあって、近くにある蘇州川の風景と輝き合っています。」と、静安区翟磊区長は述べた。
静安には、このような橋の下の空間が一ヵ所だけでない。例えば、長寿路の橋の下の空間はカラーの有機ガラスと照明を組み合わせて幻の長廊を作り、歩道の両端はそれぞれ花園と桟橋を結んでおり、光音桟橋-蘇河幽径(長閑な小道)-錦繍花園を繋ぐ立体的な水辺のウオーキングシステムを形成している。恒豊路の橋の下には1南1北という二つの人文空間が作られており、南側はミニチュア景観で都市の文脈を表現し、北側は花の彫刻景観の形で詩詞文化を市民の生活に取り入れている。
「われわれは1つの橋に1つのテーマを付けて橋の下の空間のグレードアップ・リフォームを展開し、現地の事情に応じて多くの市民サービス機能を組み込み、快適で美しい環境を作り上げています。一つ一つの橋の下の『灰色の空間』を質が高くて美しい風物詩にし、『眠っている』空間を蘇らせなければなりません」と翟磊区長は述べた。
正午
党員・群衆ステーションが市民の需要を応える
三伏の正午、太陽がかんかんと照りつけている。午前、最後の宅配便を届けた後、順豊宅配の配達員の黄源さんは蘇河湾緑地党員・群衆サービスステーションに入り、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、およそ半分をゴクゴク飲んだ。「昼に、サイトに戻る途中、ここに寄り、しばらく休んで携帯電話を充電したりします。ここには電動バイク用のポンプもあるのでとても便利です」。
「静隣一家・蘇河薈」党員・群衆サービス陣地システムサイトの一つとして、蘇河湾緑地党員・群衆サービスステーションは約40平方メートルで、「赤色充電、民意募集、便民サービス、健康管理、景観休憩」の5大機能サービスエリアが設置されており、「小さいながら完備された」便民サービスステーションとなっている。
AED自動体外式除細動器、救急キット、電子レンジ、傘から、無線ネットワーク、充電器、多機能健康診断一体型機器、血圧計などの施設に至るまで、ステーションは周辺住民や観光客、屋外労働者に便利さを提供している。スタンプ本を持参してくる観光客も少なくない。サービスデスクにある十数枚のスタンプには、蘇河湾の歴史的建築物と代表的な13の橋が刻まれており、上海のスタンプ愛好家の口コミにより人気が高い。
隣にある民意募集本には、多くの市民からの良いアイデアが集まっている。当初、周辺住民の提案で、この蘇河湾親水プラットフォームの公共ステーションが設置された。北駅街道のコミュニティ党員・群衆サービスセンターの浦燕蓉主任は、「市民は親水プラットホームの管理やサービスステーションの機能などについて自由に意見を述べることができます。我々はここで蘇河湾VR赤色ツアー、「蘇河有約」ライブ配信チャネル、蘇河チャリティー林引き取りなどの特色あるサービスプロジェクトを展開しました」と説明した。
「市民はここで生活、仕事をしています。ここの身近な環境への感想や体験が多いでしょうね。だから静安は蘇河沿線の公共空間の都市更新について、需要・計画・効果という三つの面から市民に耳を傾けています。みんなの『ゴールデンアイディア』を、市民たちが絶賛する『ゴールデン果実』に変えるよう努力しなければなりません。」と翟磊区長は述べた。
夜
歴史文脈の触れ方を革新
夕方、蘇河湾にあるFotografiska映像芸術センターは明るく照らされている。展示ホールを行き来する若者が多くて、展示会のほかにも、露天バー、空中庭園、文化クリエイティブショップなども、仕事帰りのリラックスに最適な場所である。
平日の夜11時まで営業しているこのアートランドマークは、1931年に建てられた歴史保護建築物である四行倉庫の光三分庫をリフォームしたものである。内部の壁にはまだらの歴史的痕跡が残っており、天井や柱などの要素もそのまま保護されており、都市の歴史的記憶と現代芸術がここで化学反応のように融合している。
ホワイトカラーの趙さんは仕事が終わった後、友達を誘ってここでぶらぶらするのを好んでいる。「ここではドリンクを持ち歩いて展示エリアで写真作品を見学したり、屋上の露天テラスで友達と食事をしたり、蘇州川の夜景を楽しむことができ、リラックス感がいっぱい、癒される場所となっています」と話した。
蘇州河に沿って東に向かって百年天後宮に着くと、古式蒼然たる城門や舞台、東西の見物楼を見ると、まるでタイムスリップしたかのように感じられる。蘇河万象天地複合商業施設と結びつけ、天後宮全体は元の場所で「再現」され、都市更新の過程で、ファッションと文化を取り入れて、新たに生まれ変わった。
静安国際映画祭の期間中、没入型インタラクティブ建筑ライトショーがここで上演され、光り輝く万華鏡の柄は、古代舞台の藻井(ホームや通路の天井にある格子状の装飾)の螺旋模様からインスピレーションを得ておる。上海国際芸術祭では、天後宮ファッションショーには浙江省の小百花越劇団が招待され、蔡浙飛さん、陳麗君さんらが戯曲、映画と歴史的建築物との対話を上演した。静安現代演劇バレーには、コミュニティによる文化チームが順番に登場し、古風で上品な舞台が全員楽しめる「全民大舞台」に変身した。
蘇河沿岸の豊富な歴史建物資源を頼りに、静安は歴史文脈の触れ方を革新した。現在、蘇河湾エリアの芸術観賞パスポート一冊で、蘇州河沿岸の複数の芸術の場がリンクされ、専門芸術資源が社会情操教育資源に転化されている。学生、住民、ホワイトカラーはFotografiska、蘇河皓司などの人気芸術空間で展示会を見学し、人文芸術との「親しいインタラクション」をすることができる。
「静安は一貫して最高の資源を市民に、良質な供給で人民に奉仕することを堅持していきます。われわれは引き続き蘇河沿いの橋の下空間、親水プラットホーム、公園緑地、文化会場などの公共空間の開放・共有、リンクを推進し、より多くの高品質な公共空間を都市更新のモデル・手本にし、人民都市の重要理念の生き生きとした実践に変えます」と静安区の翟磊区長は述べた。