「大衆の本音」に耳を傾け、全員が受益者になる都市を構築
原稿発送の期日:2021-11-12 訪問回数:


■取材・文 張琦

「軽車両の管理について、私が一番関心を持っている問題は、歩行者の交通安全と充電安全にあります。信号無視などの行為に対して相応の規範をもって規制してほしいです」。静安区江寧路街道の末端立法連絡拠点で開かれた「上海市非機動車安全管理条例(草案)」(ここの非機動車は軽車両を指す)の意見募集座談会で、初めてこの会議に参加した宅配員の付文光さんは非常に興奮していた様子で、「ここではみんなが言いたいことをすべて話し出すことができて、自分の意見を存分に話せて、またみんなの意見もよく聞けて、じつに素晴らしいです」と語った。

2016年6月に、上海市人民代表大会常務委員会は江寧路街道を含む第1陣となる10カ所の末端立法連絡拠点を承認した。2020年4月に、市人民代表大会常務委員会は再び江寧路街道を含む新たな25カ所の末端立法連絡拠点を承認した。認定プレートが授与されて以来、江寧路街道の末端立法連絡拠点は自らの実情を踏まえて、コミュニティの持つ優位性を発揮し、積極的に革新を模索し、一定の成果を収めた。

民生を立脚点にし

大衆の意見と願い事に耳を傾ける

この頃、市人民代表大会によって立法審議が行われている「上海市非機動車安全管理条例(草案)」は社会から広く意見を募集している。同法規の特徴と規制対象に基づき、江寧路街道の末端立法連絡拠点は意見募集座談会を開いた。

区建設管理委員会、区交通警察支隊、区都市管理法律執行局、同街道の平安弁公室、同街道の都市輸送センターなどの管理と法律執行機関の代表はもちろん、弁護士、コミュニティーの住民、オフィスビルで就職するスタッフ、宅配員などの各業界の大衆の代表者も座談会に出席した。「一つ目、第5条、第8条に、区政府が特別に一つの委員会か機構を設置し、条例の実行に対して監督・調査を行うことを提案します。二つ目、第29条の駐車と充電の安全管理について、ここでの『電動自転車』(原付のこと)という表現を『非自動車』(軽車両のこと)に置き換えてはいかがでしょうか」と区人民代表大会の末端立法情報収集拠点、大悦城ショッピングセンターに所属する丁霞代表は、具体的な法律条項についての意見や提案を数多く打ち出した。みんなの意見や提案に対し、立法連絡拠点のスタッフは漏れなく全部記録し、整理された意見を市の人民代表大会の立法機関にフィードバックした。

2020年11月1日に正式に施行された『上海市公共衛生応急管理条例』では、市民が公共の場でマスクを着用することが法定義務であることが明記された。当初、草案の意見募集の際、江寧路街道の末端立法拠点は「マスク着用」を法規に盛り込むことについて提案した。

江寧路街道の末端立法連絡拠点の指導組弁公室の朱学加主任は、「住民はみんな、マスクを着用することは自己防護だけではなく、公共分野での他人に関わる行為でもあります。マスクを着用せずに公共の場に入ることは、公共の利益に対する潜在的な脅威になる可能性があると考えられています。マスク着用を法規に盛り込むことができれば、より拘束力があるでしょう」と語った。住民にとって最も嬉しいのは、「公共の場でのマスク着用」に関する提案が「上海市公共衛生応急管理条例」に採用されたと朱さんが思う。

民意を集めて

法の温度を十分に感じさせる

2021年1月1日から施行された『退役軍人保障法』は、我が国初の退役軍人を対象にする専門法律である。このマイルストーンのような意義を持つ法律の立法には、同じく江寧路街道の末端立法連絡拠点から集めた「民意」を表している。

2020年7月17日に、全国人民代表大会常務委員会法制工作委員会の末端立法連絡拠点である虹橋街道の関係者は江寧路街道を訪ねて、『退役軍人保障法』について立法座談会を開いた。これは江寧路街道の末端立法連絡拠点が初めて全国的法律向けの意見募集任務を担うことであり、全国人民代表大会所属の立法連絡拠点が初めて市人民代表大会所属の立法連絡拠点と共同で意見を求めることでもある。江寧路街道は特別に、退役軍人事務局の代表者、弁護士、現役軍人、軍人の配偶者などさまざまなグループの代表を座談会に招き、各自の視点からこの法律に対する意見と提案を発表させた。

退役後に弁護士に従事する王文明氏は座談会で、『保障法(草案)』に規定された「保障の対象」に関する処罰条項は立法の目的と合致しないことを提出した。我が国の既存の『女性権益保障法』、『高齢者権益保障法』、『障害者保障法』にはいずれも保障の対象に対する処罰条項がないから、関連条項の修正を提案した。王文明はみずからの提案が採用されたことを知り、「全国人民代表大会の退役軍人保障法修正に関する説明を読みました。前回の会議で検討した内容がようやくいい結果に繋がり、とても嬉しいです。立法連絡拠点がわれわれの意見をちゃんと上層部に報告してくれて、ありがとうございます」という内容のメッセージをウィーチャットを通して同街道の立法連絡拠点のスタッフに送った。

上海市の高齢化が進むことにつれて、家事代行サービス業はますます市民の注目を集める重要問題になる。2019年10月21日に、市人民代表大会常務委員会法制工作委員会はチームを率いて江寧路街道を訪ね、『上海市家政サービス条例(草案)』(家政は家事代行を指す)について立法調査研究を展開した。江寧路街道では、家事代行サービス会社の責任者、評判のいい家事代行業者、団地の党総支部の担当者、コミュニティの高齢者住民と同街道の関連部門の責任者など、多くの分野の代表が同会議に参加した。

有名な家事代行業者の陳桂枝さんは、既存の『上海市家政サービス条例(草案)』では、家事代行サービス業者に対する権利保障がまだ行き届いていないことを提起した。例えば、家事代行サービスの利用者の権利と義務について、利用者や同居人が感染症にかかっている場合には、ただ事前に家事代行サービス業者に事実を伝える必要があると規定されている。しかし実際には、精神病にかかったことがある利用者など、家事代行サービス業者に損害を加える恐れがある状況がたくさん存在しているから、さらなる法律の整備が求められている。この提案は最終に『条例』最終版の第12条に採択された。

コミュニケーションのルートを円滑化させ より多くの民衆を法治のプロセスに参加させる第1陣の市レベル端末立法連絡拠点に入選された唯一の街道として、江寧路街道は終始一貫して末端機関としての位置づけ、民衆の視点から、民意を反映することを堅持し、所轄のコミュニティ、オフィスビル、パーク内の民衆の「ありのまま」の意見と提案に対する収集、整理、報告を重視し、立法機関に「大衆の本音」を届けるよう努力している。そのため、江寧路街道は連絡拠点の業務と「法治静安」づくり、コミュニティでの党の建設、地域化の党の建設などの事業と有機的に結び付け、「1+27+X」という業務上のネットワークを構築した。その中で、「1」とは街道人民代表大会工作委員会を指し、実際の関連業務を担当する。「27」とは末端立法情報収集拠点を指し、同街道の所轄にある16カ所の団地の末端立法情報収集拠点及び静安区人民代表大会常務委員会によって全区範囲内で配置された11カ所の末端立法情報収集拠点を含む。「X」とは同街道の所轄の企業、事業体、「両新(新経済と新社会)」組織などを指す。取材によると、静安区人民代表大会常務委員会は江寧路街道の末端立法連絡拠点の業務実行に多くの支援を与え、立法連絡拠点の業務展開を支持・保障する公文書を特別に作成しただけでなく、全区範囲で11カ所の末端立法情報収集拠点を設立し、連絡拠点の業務範囲をさらに広げ、連絡拠拠点の業務能力を一段向上させたという。

この四年間、江寧路街道の末端立法連絡拠点は市人民代表大会の各種の立法会議に計11回参加し、各種の立法座談会と調査研究を8回展開し、各種の業務訓練講座に3回参加し、延べ600人余りの参加者がいる各種の立法意見座談会を40回余り開き、調査アンケートを3,000通余り配り、立法関連のテーマ調査研究報告を2部まとめた。同連絡拠点は相次いで、『中華人民共和国退役軍人保障法』、上海市『街道事務所条例』『道路交通管理条例』『生活ゴミ管理条例』『家政サービス条例』『経営環境最適化条例』など1部の全国的法律と18部の地方的法規の意見募集任務を引き受け、市人民代表大会常務委員会に300余件の提案を提出し、12部の法規の計37の条項が江寧路街道の末端立法連絡拠点の関連提案の内容を受け入れた。

江寧路街道の末端立法連絡拠点の責任者によると、同連絡拠点は終始一貫して本業に焦点を当て、同連絡拠点を「立法・社会情勢・人民意思の集中場所、法治文化の種まき機と人民代表大会制度を展示する窓口」になるよう努め、より多くの民衆が都市の法治プロセスに参加する機会を与え、全員が受益者である人民都市づくりに知見を捧げる。