住民の要望を効果的に対応 人民代表大会代表はここで職務遂行の「シンクタンク」を持つ
原稿発送の期日:2021-11-12 訪問回数:


■取材・文 王彦琰

大寧国際小学校西キャンパスにある広延路と彭江路の交差点では、これまで交通信号機がなかったため、登下校のピーク時間帯になると、交通渋滞や混乱が発生し、安全上のリスクが潜んでいた。昨年9月、同区間で信号機1カ所が設置されたことで、ここの交通状況が大幅に改善され、保護者からの称賛を得ている。これは近年、大寧路街道の市区級人民代表大会代表の職務遂行の成果を示すものである。

大寧路街道には5名の市人民代表大会代表と26名の区人民代表大会代表がおり、2017年以来516人の住民を受付、276件の提案と意見を提出し、完成率は97%だった。このような意見・提案の多さと高い割合の完成率の背景には、街道人民代表大会工委が制定した一連の高効率な運営システムが積極的な役割を果たしていることにある。その中で、最も核心的な秘訣は「民生事務顧問」である。大寧路街道が代表の職務遂行能力を高めるために採用した革新的な措置は、3年余り以来、代表意見の処理スピードと質の向上の面で著しい成果をあげている。

プロな「シンクタンク」で

人民代表大会代表の職務遂行能力を向上させる

毎週火曜日、延長中路411号に位置する大寧路街道の「人民代表大会代表の家」は特ににぎやか。この日は住民の訪問日で、街道とペアリングを組んでいる市の人民代表大会代表5名と選挙で選ばれた区の人民代表大会代表26名が交代で受付、住民たちはここに来て思う存分話したり、訴えたりすることができる。この仕事は2017年からずっと続いている。

しかし、意見処理のプロセスで、足りない所も次第に明らかになってきた。一つは、各業界からの人民代表大会代表はコミュニティの仕事や政府の関連条例、政策などをよく知らないかもしれないという。もう一つは、代表意見は区人民代表大会の関連部門を通じ、取り扱う機関に回され、時間がかかったという。住民により良いサービスを提供するために、「民生事務顧問」制度が生まれた。

街道人民代表大会工委は区内の民生事務と密接に関連する部門の業務中堅を招聘し、代表が職務を遂行する「民生事務顧問」として、専門的な政策相談を提供し、代表が住民の要望に応える強力な支えとなっている。ここ数年、度重なる調整と拡大を経て、現在、「民生事務顧問」は区教育局、公安静安分局などを含む20の部門からなっている。代表は住民の要望を受けた後、この問題を処理できる相応の「民生事務顧問」を的確に探し出し、民生事務顧問が専門的な政策意見と解決案を出すことにより、効果的に問題の解決を促進する。

昨年、徳必易園で働くホワイトカラーが人民代表大会代表に、隣の送風機工場に、昼間の騒音問題で、何年も悩まされていたが、解決されていなかったという苦情を寄せた。人民代表大会の代表はすぐに区生態環境局の民生事務顧問の湯旭芳氏に連絡し、園区と工場区の騒音をチェックした結果、騒音は確かに規定の基準を超えていることが明らかになった。湯旭芳氏は、「専門的な検査結果を持って、彼らは送風機工場に通達を出し、防音ガラスの取り付けや作業時間の調整など一連の措置を取るよう求めた。また、何度も訪問して説得し、コミュニケーションを取り、騒音機器の使用を停止するよう求めた」と語った。民生問題顧問と人民代表大会代表の共同督促のもと、同工場は昨年末、ついに騒音機器の搬出を行った。長年騒音に悩まされてきたホワイトカラーからは、「環境保護部門の専門的な意見のおかげで、この問題が徹底的に解决された」と感謝の声が上がっている。

大寧路街道人民代表大会工委員会の劉明剛副主任は、「民生事務顧問のほか、街道人民代表大会工委員会は恒業法律事務所など多くの法律事務所と協力し、法律顧問を招聘し、住民の受付に参加させ、住民へのサービスに法的サポートを提供し、代表が意見の処理においでも良い働きを発揮している」と語った。

強力な「ブースター」で

代表意見の効率的な処理を促進

記者の調べによると、人民代表大会の代表や民生事務顧問らは毎週勤務して住民を受付るだけでなく、四半期ごとにコミュニティを訪れ、住民と連絡を取り、住民のニーズを間近で把握しなければならないという。宝華現代城で、彼らは住民の「ツッコミ」を聞いた。団地の前の広延路には2車線があり、車は左車線で走るなら、左折するしかなく、右車線で走るなら、右折と直行が可能だが、住民の車は団地を出た後、多くは右折して高架橋に上がることになる。このため、右車線の渋滞が発生し、特にラッシュアワーの時間帯には車が長蛇の列を作り、車を運転する住民は苦しんでいる。

公安静安支局の民生事務顧問は状况を把握した後、すぐに交通警察を現場に派遣し調べさせ、この区間の交通量、車の運行状况を連続的に監視、分析、検討した後、「車線変更」を决定した!左車線を直行と左折に、右車線を右折のみに変更した。これにより、住民の移動がスムーズになった。住民の陳さんは、家の前で起きている変化を見て驚きを隠せなかった。「この問題を人民代表大会の代表に提起してから、1週間もたたないうちに、解決された。本当に早かった」という。

これについて、市人民代表大会代表、宝華現代城住宅区党総支書記の李華氏も感銘を受けた。交通問題は住民の要望の中で一定の割合を占めており、事態は大きくはないものの、人民代表大会の代表たちから重視されており、民生事務顧問の協力を得て、昨年、大寧国際小学校西キャンパス付近、上海大学南門付近の信号機増設などの取り組みは、住民から広く好評を得ている。住民が提起した問題が、人民代表大会代表、民生事務顧問を通じ、関連職責部門に直接回されることは、住民に便利な「グリーンルート」を切り開いたことに相当し、このように直接的で指向性ある方法で、時間と流れが大幅に短縮され、住民の要望に迅速に応えたり、解決したりすることができる。

「信頼感」を高め

住民と代表との距離を縮める

劉明剛氏は取材の中で、街道人民代表大会工委、人民代表大会代表、民生事務顧問を含むウィーチャットグループを記者に見せた。一部の住民の問題が複数の部門に及ぶ場合、このグループで調整と討論を行うほか、街道人民代表大会工委も人民代表大会代表、民生事務顧問、コミュニティ民情係を招集し、4者会議を行い、状況を理解し、問題の初期に速やかに解決し、小さな問題が大きな問題に発展しないようにする。「住民の意見を処理するプロエスで、民生担当顧問が『架け橋』の役割を大きく果たした。住民の問題を迅速に関連責任部門に直接回される他、代表と住民との距離をさらに縮めることもできる」と話した。

所轄の嘉悦軒団地には若い住民が多く、ゴミの分別作業を推進する中で、多くの住民がゴミの定点捨て場が多すぎて、匂いなどの問題が正常な生活に影響を及ぼしていると不満を訴えた。ゴミ箱の撤去、ゴミ定時定点捨てなどの措置にも納得出来なかった所が多い。区人民代表大会代表、慧芝湖花園住宅区党総支部書記の何静氏は住民の意見を受けて、民生事務顧問、区緑化と市容管理局の尹成東氏、及び団地の不動産管理会社を招集し、会議を開き、検討を重ねた。また、何度も団地に対し、現地調査を行った。住民の生活ニーズとゴミ搬送ルートの便利さに踏まえて、尹成東氏は団地のゴミ捨て場を再計画し、従来の9カ所から3カ所に減らし、合理的な位置に設置することを提案した。多くの人のたゆまぬ努力により、ゴミ分類に対する団地住民の態度が明らかに改善された。特に団地住民からいくつか比較的に専門的な質問をされた時、専門的な解釈と応答ができて、住民が満足した。何静氏は記者に対し、「このような双方向の意思疎通は、人民代表大会代表に対する住民の信頼を大きく高めた。ある住民は、人民代表大会代表が実際にわれわれの問題を解決してくれて、親しみを感じていると話した」と述べた。

現在、大寧路街道では、多くの住民がコミュニティ新聞やウィーチャット公式アカウントなどを通じ、毎週火曜日の住民受付日の日程を事前に注目し、人民代表大会代表に苦情を寄せている。人民代表大会代表が実際の問題解決を手助けできるとますます深く信じている。「この中で、人民代表大会代表と民生事務顧問も互いに監督、促進し合い、人民代表大会代表は民生事務顧問の処理プロセスを理解することで、関連責任部門の住民問題に対する処理スピードと質を監督する。また、民生問題顧問の専門的な指導を通じて、人民代表大会の代表が専門知識を増強させ、職務遂行能力を絶えず向上させ、住民により良いサービスを提供することを促進することで、良性なサイクルが形成されている」と劉明剛氏は述べた。