■取材・文 邢蓓琳
地道に住民のために一つ一つのことをしっかりと行い、より幸せに暮らせるようにすることが、静安寺街道の末端社会ガバナンスを深く推進する核心的な要義である。これまで、静安寺街道は一貫して党建設を先導とし、街道管轄区域の党建設サービス資源を地域化党建設の「エネルギープール」に集結させ、コミュニティ住民の急用・難題・懸念事など最も実際的な民生問題を解决し、幸福度を高めさせながら、グリッド化の党建設ネットワークを絶えず整備し、コミュニティ中の一人一人がコミュニティ発展の参与者、管理者になり、より多くの獲得感と帰属感を得るようにする。
共同管理能力を高めて、
最も現実的な問題を解決する
「同心家園」は2009年に静安寺街道が打ち出した地域化党建設ブランドで、現在まで、103の共同建設理事会と6つの専門委員会を持つ温かな大家族に発展した。「同心恵民」プロジェクトの発表から、資源リスト、需要リスト、プロジェクトリストの「3つのリスト」を手掛りに、的確な「プロジェクト実行チェーン」を形成し、「大党建設・優れたガバナンス」の10項目の行動を実施するまで、街道は終始「党建設サービス資源を地域化した党建設活動のエネルギー、温かさ、底力にもっとよく転化させる」ことを重要な課題とし、「優」の字から力を与え、「活」の字から力を集め、党建設の「同心円」を積極的に模索し、革新することで、地域の共同管理能力はコミュニティ住民の最も実際的な問題を解決するための強大な力となり、善意と温もりが最大限の範囲をカバーできるようになる。
2019年10月、静安寺街道は華東病院と協力して「医養直通車」サービスプロジェクトを発表し、管轄区域住民の医療看護と健康医養に対する切迫したニーズを着実に応え、「壁のない医養サイト」を構築し、一流の医療資源がコミュニティに直接定着するようにした。プロジェクトは月1~2回の頻度でコミュニティの「楽齢家園」に入り、華東病院各科の専門家を招き高齢者のための無料診察サービスを展開する。華東病院の医師はまた、静安寺コミュニティの高齢者介護ホームに入居する高齢者のために、ホームまで訪問し、ホームドクターサービスを提供し、初診や調剤を行い、高齢者の健康ファイルの管理に便宜を図っている。
今年の敬老節期間中、「医養直通車」プロジェクトは2.0アップグレード版を発表し、新たに「訪問問診」サービスプロジェクトを追加した。華東医院はコミュニティがスクリーングした行動が不自由な高齢者12人の具体的な病気の状況によって薬を決め、11人の専門医を派遣してそれぞれ高齢者とペアを組み、医療サービスの範囲を高齢者の自宅まで広げた。
愚園路483弄に住む馮爺さんは、第一弾の「訪問問診」の受益対象者である。今年9月、馮爺さんは家の前で転んだため、左大腿骨を骨折して入院し、手術を受けたが、2本のリベットが打ち込められたため、階段を下りられず、再診が困難になった。
「おじいさん、安心してください。この前の手術は大成功でした。自信を持ち、しっかり鍛えることで、足は必ず機能を回復できます。」ペアを組んだ医師である華東病院整形外科副主任医師の楊豊建さんが初めて訪ねてきたことを思い出し、馮爺さんは感激した様子で、楊医師が病歴を尋ね、傷口を診査した後に話した言葉で「安心感」を得たと話した。
馮爺さんの奥さんによると、「楊医師は訪問問診だけでなく、リハビリの動作を3つ教えて、毎日鍛えるよう要求しました。携帯電話の番号も教えてくれて、必要なときはいつでも電話やメールをしてもいいと念を押しました」。「楊医師の訪問診察は、私たちに術後の回復に自信を持たせただけでなく、心の不安も緩和させ、心も落ち着かせました。家に横たわっていても専門医の診療を受けることができるということは、以前は想像もできなかったことだが、今は私たちのそばにいることで、まさに雪中送炭(雪の降る寒い時に炭を送る)で、私たちにとって、最大の困難を解決してくれました」と馮爺さんの奥さんが語り、「訪問問診」サービスに大きな「いいね」を寄せている。
共同管理能力を奮い立たせ
「同心の家園」は全員参加
枕流マンションは、上海の優れた歴史保護建筑で、「海上の名楼」と呼ばれており、傅全香、周璇、喬奇など多くのセレブがかつてここに住んでいた。今ここに住む約70世帯の住民は、数十年にわたって「水道料金の支払い」という些細なことに悩まされてきた。
もとは、マンション建設時の家屋構造に制限され、各世帯の水道メーターの多くが1世帯2メーター、3メーター、さらには4メーターだったが、マンション全体では1つの総水道メーターだけが上海城投水務(グループ)有限公司に認められ、住民の家にある125個の小さなメーターは、すべて自分で購入し、設置したものだった。マンションの建築図面はすでに存在しておらず、1世帯多メーターを1世帯1メーターに改造することはもう不可能だった。数十年来、枕流マンションの水道料金はボランティアが代行で徴収してきた。
ビルグループ党グループ長の呉永湄さんの自宅で、ビルグループ長の馬明華さんは、2カ月ごとにマンションのロビーに水道メーターの検針公告が貼り出され、住民は自宅の水道メーターの数値をノートに記録し、水道料金の徴収を担当するボランティアの家のポストに投函するなど、水道料金の徴収代行の全過程を説明した。ボランティアはノートを受け取ると、総水道メーターの検針数や各世帯の人口などから具体的な納付数字を算出し、その数字と水道料金を支払う時間をボランティアが自ら設計した水道料金表に記入する。そして、水道料金表をノートとともに各世帯の郵便受けに詰め込む。住民は水道料金表を受け取ると、料金の支払い時間に応じて料金を支払う。「水道料金を徴収するたびに、私たちのビルグループの『一長五大員』とボランティアがそれぞれ幾階を請け負って、力を合わせて水道料金を徴収しました」。馬明華さんは「些細なことだが、みんな文句も言わずに頑張ってきました。ビルグループのことは自分の家のことと同じように、力を尽くすべきです」と話した。
呉永湄さんは今年年初、再び華山居委員会を訪れ、全棟の住民の「水道メーター世帯単位での取り付け」という強い意思を表明した。何度も意思疎通と協議を経て、住民委員会は住民代表、不動産管理会社、水道会社の「三者協議会」を順調に組織・開催した。水道会社は何世帯もの住宅構造の実態を現地調査した結果、1世帯多メーターの現状を維持し、不動産管理会社が担当して各既存の水道メーターを水道会社が認可した水道メーターに交換することを決めた。すべて交換した後、水道会社はスタッフを派遣して検針に伺い、住民は水道料金表を受け取った後に自分で代金を支払う。
この朗報を受け、ビルグループの「一長五大員」とボランティアたちは手分けして住民に状況を知らせ、不動産所有権証、身分証明書のコピー、水道メーター材料費250元/点を受け取った。その中で、異議を申し立て、甚だしきに至っては協力を拒否した住民もいた。「水道メーター世帯単位での取り付け」はシステム工事であるため、全棟の住民が同意しなければ着工できないため、馬明華ら「一長五大員」とボランティアが何度も訪問し、住民と意思疎通を図った。ビルグループでは解決できない問題に遭遇したら、住民委員会にフィードバックし、みんなで会議を開き、打ち合わせをする。
今年6月末、枕流マンションの125個の水道メーターに対し、水道会社による検針が実現させ、「ボランティアによる水道料金徴収」の時代と完全に別れを告げた。華山居民区党総支書記の王静さんによると、枕流マンションが「水道メーター世帯単位での取り付け」を実現したことは、街道グリッド党建設がコミュニティガバナンスの微小ユニットを効果的に活性化させ、党建設の先導、住民自治、共同管理を通じて民生の需要を解決した典型例だという。
王静さんは、「水道メーターの世帯単位での取り付け」は特別なケースではないと説明した。ここ数年、華山居民区の党総支、グリッド党支部、ビルグループ党支部からなる3級党建設組織ネットワークとガバナンスプラットフォームは、「党建設が四つの行動をリードする」を通じて、電動バイクのむやみな充電、ポストの改造、坂道の改造、ビルの通路の積み物など、さまざまなコミュニティの問題を解決してきた。「同心」ビルグループ党支部は組織者、推進者、調和者としての役割を果たし、党員は先に知り、先に討論し、先に行動し、オープンで透明な「陽光モード」でビル内に生じる問題を参与式で解決する。
つい最近も、ある住民が野良猫に餌をやる行為で、野良猫が集まったり、マンションの庭の環境が悪くなったりしている。このため、ボランティアらが相談した結果、野良猫に餌をやらないことを住民公約に盛り込まれるようにした。住民の意見を十分に聞き取り、猫に餌をやった住民と対面で交流し合意できた後、「庭をきれいに守るため、枕流園内で野良猫を飼わず、飼い猫は家で飼うように」という内容が住民公約の第6項になった。
静安寺街道によると、近年、街道は末端の閉鎖的なブロック構造を打破し、党建設を実際にグリッド化することを実行し、街道の党工委員会を「原点」とし、住民区の党総支、住民区の党支部、住民区の党グループの構造に従ってさらに末端に拡張し、「1+11+37+388」の4級グリッドを構築し、党組織を「毛細血管」のようにして、党建設に率いられるコミュニティーガバナンスをコミュニティーの隅まで浸透させていく。大勢の党員は党建設グリッドに依拠して、コミュニティガバナンスの参与者、建設者の主体的役割をより柔軟かつ十分に発揮することができ、末端の党建設が動くと同時に、より厚みと温かさのあるものになるように推進することができた。