民生データが「語る」コミュニティガバナンより「スマート化」になる
原稿発送の期日:2021-11-12 訪問回数:


取材・文 彭旭卉

ここ数日、今年度静安区が定年退職した女性に無料で提供する両病スクリーニング検査サービスがまもなく終了するところで、臨汾路にはまだ予約をしていない多くの住民に注意メールが届いた。

例年、住民委員会幹部の精力は限られているため、予約サービスの公告を貼る以外、まだ予約していない住民に一対一の通知サービスを行う余裕がなかった。今年はこうした状況が変化し、システムが自動的に照合してまだ予約していない住民を探し出し、スマートアウトバウンドシステムで通知を発信する。「これで住民は通知を見逃して、政府が提供する福祉が受けられないことは二度とありません」。

「民衆が奔走し、サービスを探す」から「データに基づき、サービス対象を探す」への転換ができたは、臨汾路街道が初めて研究開発した「民情日誌3.0バージョン」デジタルコックピットのおかげである。この「コックピット」では、1000万件近くの民生データが集約・保存されており、社会動員・サービス対象の探し・リスク早期警戒など8分野の57種類の応用において「語る」ことで、「デジタルに基づいて、コミュニティを管理する」ことを可能にした。

「デジタルの翼」を広げて、

コミュニティガバナンスを強化する

臨汾路街道は2018年、全市に先駆けて「民情日誌」ビッグデータシステムを導入し、「人」と「住宅」を単位に、臨汾管轄区内の民情情報とサービス管理内容のカバーを実現した。この2年間、特に今年に入って、「二つのネットワーク」建設の推進に伴い、街道は従来のコミュニティの人・住宅・世帯データベースを基礎に、240の特色タグを拡張し、街道レベルの11の応用サブシステムを開通して民生データのベースを構築し、大量の民生データを蓄積した。

データがあれば応用しなければならない。「これほど価値あるデータを『ただ寝る』ことはできません。データ自身が『語る』ようにしなければなりません」と臨汾路街道の責任者は述べた。人の手だけで大量のデータを見つけ・分析するのは難しい。デジタル化ツールにより、コミュニティの仕事をさらに後押しする必要がある。

そのため臨汾路街道は同済大学スマートシティ研究所と共に、高度分析、スマート応用、リスク早期警戒、政策決定支援を一体化したデジタルコックピットシステムを構築し、既存のマルチソースデータを融合させ、「計算力」を高めさせた。デジタルコックピットは現在、社会動員、スポット立地選択、サービス対象の探し、リスク早期警戒、緊急救助、資源リンクなど8つの分野で57種類の応用を広げており、コミュニティのガバナンスをより細分化かつ「スマート化」にさせるよう努めている。

「沈黙のグループ」を見逃さない

すべての「よき期待」に応える

デジタルコックピットが初めて「両病スクリーニング検査」シーンで運用されたことで、両病スクリーニング検査サービスのカバー率が効果的に向上させた。ビッグデータによるサービス条件を満たした住民数は例年の同時期の実際サービスを受けた人数より大幅に増加した。「増加の人数がコミュニティの『沈黙のグループ』です。」長年末端で働いてきた汾西路261弄住宅区党総支書記の施菊麗さんによると、以前、住民委員会は政策通知をコミュニティの小さな黒板に書いて、通知を読んだ人だけが政策を享受していた。その後、グリッドマネジメントを通じて、ビルごとを単位に、ビル担当者が1ずつ訪問して通知することで、コミュニティに住んでいる住民はすべて知ることができるが、人と世帯(実際住んでいる所と戸籍地)が違って、連絡が取れない住民たちは政策的な福祉が受けられないかもしれない。今では、デジタルコックピットを通じて、条件を満たす住民なら誰でもプッシュメッセージを受けることができるようになっている。

最近、汾西路261弄住宅区に住む黄さんは、臨汾コミュニティ事務受付センターで「外来診察大病事項登録」を行った。「民情日誌3.0」デジタルコックピットのおかげで、施菊麗さんは当日、スマホメッセージが届いた。いち早く民情を把握し、翌日に病気になった住民を訪問した。施菊麗さんによると、「以前このような情報は、住民が自発的に住民委員会に知らせない限り知ることができず、『沈黙の少数』を見逃しがちだったが、現在デジタルコックピットが住民委員会のサービスを手助けて、『デジタルの翼』を広げて、『沈黙の少数』もコミュニティの温かさを感じることができるようになりました」。臨汾路の街道にエレベーター増設作業は急速に進められている。「123作業法」が効果を発揮しているほか、データが自ら「語る」というのも臨汾コミュニティ幹部にとって仕事をうまく捗るうえ、重要な手段の一つになっている。

同街道コミュニティ自治弁の陳黛静主任によると、街道は昨年、エレベーターを増設した40のビルの情報をデジタルコックピットシステムに導入した。政治立場、コミュニティイベントへの参与、公共サービスの享受状況など複数の次元からビルに住んでいる住民を分析し、エレベーター増設が最も可能性の高い「潜在的なビル」像を描いた。

ビッグデータ分析により、エレベーター増設ビルの裏に隠されていた「管理パスワード」が徐々に浮かび上がり、データモデルに基づき、コミュニティ幹部が的を絞って民衆活動を展開した結果、喜ばしい成果が得られた。今年6月以来、街道ではさらに37のビルがエレベーターを増設したが、そのうち21のビルがデジタルコックピットからのスマート推薦によるものだった。

デジタルは哨兵になり、

末端に「負担軽減」しても「サービス減少」しない

デジタルコックピットはリアルタイムでのモニタリングも可能で、コミュニティ内の問題発見・対応能力が大幅に向上した。施菊麗さんは最近、デジタルコックピットからプッシュされたメッセージを受け取り、不測の事態が発生する可能性のある空き巣高齢者世帯に重点を置くようと指示された。メッセージが届いてから、施菊麗さんがすぐに訪問して状況を調べたところ、老人は最近娘の家にしばらく住んでおり、家には人がいない状態が続いていた。デジタルコックピットは団地の管理システムなど複数のデータ分析を通じ、すぐに提示メッセージを送ったという。

施菊麗さんは、「デジタルコックピットの末端での運用は、住民委員会幹部の『負担軽減』と同時に、コミュニティのサービス能力をさらに高め、コミュニティのガバナンスを『人の力で発見し受動的な処置』から『デジタルで発見し能動的に介入する』へと転換させた」との見方を示した。

より効率的な

コミュニティガバナンスの枠組みを構築

情報化ツールがあれば、共同建設・共同管理・共有のコミュニティガバナンスの枠組みを構築することも臨汾社区においてより効率的になった。現在はデジタルコックピットの「資源リンク」シーンを利用して、住民委員会や地域化された党建設機関のニーズを入力すると、システムがワンクタップで検索を行い、コミュニティ幹部が「人がどこにいるか、ニーズがどこにあるか、資源がどこにあるか」を即座に知ることができるよう支援している。また、システムは場所、中堅、参加対象などの各種資源をスマートにマッチングすることができる。

また、デジタルコックピットの大画面に表示される公共サービススポットの分布地図により、同街道の担当者はまた、各種公共サービスの影響範囲やサービス対象などの情報を直観的に分析し、政策決定を「主に経験に頼る」から「主にデータに頼る」へと転換させ、科学的な政策決定能力を高め続けていることを促進した。例えば、今後はコミュニティ食堂や託児所の立地がより科学的かつ合理的になり、重複建設の状況を避けることができるだろう。