冬が去ろうとする初春の候、上海静安彫刻公園の梅園はひっそりと上海市中心部の「新中式(現代中国風)美学のトップスター」となっている。現在、園内の100品種近く、200株余りの梅の大部は満開になっており、園の中には香りが漂い、ピンクと白の花の海と美しい園林の造景が相まって輝いている。枝が優雅に伸びている梅、曲がりくねって奥深く続く回廊橋、せせらぎの水音と、その水面に揺らめく影、そして、独特な特徴を備えた彫刻――至る所の造景にも美学の巧みな工夫が隠されており、随所で撮ると東西の美学を融合させた詩的な画面が撮れる。
梅の花は「斜めに伸びる枝が優雅な影になる」で有名だが、枝や花の分布が乱雑であるため、多くの人は梅の花を撮影する時に理想的な構図を得ることが難しく、クローズアップ写真を撮ることが多い。上海の写真愛好家の間で、静安彫刻公園はいい写真が撮れる「宝の地」で有名です。「ここは上海市の都市部で梅を撮り、新中式美学の『頂点』にぴったりな場所!」と、静安彫刻公園で20年以上の写真撮影経験を持つ写真愛好家の顧さんは記者に語った。
梅の花が撮りにくい?ここの造景で簡単にいい写真が撮れる!
梅園に入ると、ほぼすべての梅の木に品種、花色、開花期が丁寧に表示されている。よくある朱砂、宮粉、紅梅のほかにも、「別角晩水」、「東方朱砂」、「水中月緑萼」、「呉服垂枝」といった東方美学の趣に満ちた名前を見ると、梅の花見に来た観光客は美人のアルバムを開いたかのようになる。
曲がりくねった長廊を歩くと、伝統的な中国庭園の真髄と現代的でシンプルなスタイルを融合させた繊細な光景が目の前に現れる。
垂枝龍梅、壁から伸びてくる生き生きとした姿
「龍遊梅」の枝は竜のように曲がっており、花は星のように数え切れず、枝はまるで「梅の滝」のように垂れ下がっている。そばの透かし彫りの梁は中国式庭園の屏風の代わりに、天然の額縁を構築しており、「壁から伸びてくる梅」を撮影するのに絶好な角度となっている。
飛滝漱梅、動的と静的な景色が融合した奇観
園内、梅林と人工滝の水景が組み合わせ、流水が飛び散る中、花びらが風に乗って軽く舞い上がり、ダイナミックな「漱梅(梅をすすぐ)」シーンは伝統的な梅景色の静的な美しさを打ち破り、カメラに生き生きとしたセンスを加えている。
水中梅影、虚実が交錯する禅的な雰囲気
梅園にある長廊のそばに、水の中央に立っている3本の梅の花が世俗を離れて独立する境地を余すところなく表現しており、水面の冷たい金属質感の彫刻が蘇式庭園に良く見える太湖石の代わりに、梅の木と相まって趣を醸し出している。
歳寒三友、東方美学の究極イメージ
梅園の奥深くでは、力強い松の枝、緑の竹の影とくねくね曲がる梅の木という「年寒三友」が同じ枠に配置されており、立ち上がった霧と合わせて、まるで上海市の中心部から静かな山林の中に入ったかのようで、寒い冬にも枯れない君子の風骨と春日の生気がここで絵になっている。
なぜこれらの造景はこんなに素晴らしいであろう。答えは静安彫刻公園梅園のデザインパスワードに隠されている。伝統的な梅の韻と現代の園林をどのように共生させるかは、設計当初から肝心な課題。
静安彫刻公園1期はすでにモダンスタイルに定められた。中国式庭園は曲がりくねった道が奥まで通り、景色を借りて物を隠喩することにこだわっており、梅の花の場合はレンガの壁や回廊などの伝統的な要素で引き立てる必要があるが、これらはいずれも現代的庭園のスタイルとの視覚的なコントラストが強調される。文化伝承と革新のバランスを取るため、設計チームは「現代梅園」というコンセプトを打ち出し、「目線切断法」で局面を打ち破り、蛇行した回廊を通じて見物動線を誘導し、回廊の壁で現代的建物による視覚妨害をなくし、同時に「遮断」を「利用」し、機能性建築物を連ねて、囲い空間にし、中国式庭園の中身を残すとともに、現代公園の開放的ニーズも満たした。
また、梅は水に弱いため、多くの公園は梅を比較的高い斜面に植えて、成長に不利な環境を避けるようにしているが、シーンが単一で、梅の魂が無くす問題が避けられないが、静安彫刻公園は地勢を巧みに利用し、各種の人工水景と梅の木を結合して、梅の成長の難題を解決すると同時に、「水中梅影」などの独特な景観を作り出している。
文化伝承と革新のバランスを取るため、設計チームは陳俊愉、孟兆禎ら院士や専門家を特別に招き、「梅文化と現代園林セミナー」を開催し、梅の美学、彫刻の融合、雰囲気づくりなどの角度から繰り返し検討した。最終的に、中国と西洋の美学理念が融合された現代的梅園が大衆の目の前に現れ、伝統的な庭園によくある白壁黒瓦がないが、現代的な要素が富んでいるセメント壁、鋼、木、ガラス構造、花崗岩、現代彫刻、人口プールなどで、「梅の影が優雅で水とあわせて輝き、薄い香りが月光の中で漂う」雰囲気を作り出した。
花見だけではない:ディテールに隠された千年の文化
梅園の中には「梅花喜神譜」が隠されており、これは廊下の壁に刻まれている中国初の梅の形を描いた木彫り画譜である。観光客は花見をしながら、古譜の中の「つぼみ」、「咲く直前」、「爛漫」など百種類の梅の様子と照らし合わせ、古人の梅の花見の優雅な趣を感じることができる。
花見攻略:逃したら来年なのよ
ベスト観賞期間:
本日から3月中旬まで
推奨時間帯:
9:00~11:00、 14:00~16:00の2つの時間帯には滝や霧が開放され、風景がより多様に。
場所:
静安区石門二路128号(北京西路付近)