この春、静安区の蘇河湾は両岸に花が咲き誇るだけでなく、春の消費市場にも新たな活気をもたらしている。蘇州河の畔に位置する商業施設「蘇河湾万象天地」西里エリア1階の慎余里広場では現在、「春韻蘇河【蘇FU】美学生活マーケット」と題したイベントが盛況を呈している。
ここ数日、同広場はさながら「息づく江南庭園」へと姿を変えた。70余りの「蘇州美学」ブランドが一堂に会し、春の味覚から蘇州刺繍、インテリア雑貨、さらには体験型イベントまでを一つに融合。上海市民に「見て、触れて、味わえる」東洋美学の祭典をもたらすとともに、「春の消費」の活気を大いに盛り上げている。同イベントは今月6日まで開催される。
慎余里広場を散策すると、辺りにはほのかな茶の香りとヨモギの清々しい香りが漂っている。名茶「碧螺春」のまろやかな味わい、伝統的なヨモギ餅「青団」のもちもちとした食感、そして桃の花をかたどった焼き菓子「桃花酥」の甘い香り――江南の春を彩るこれらの限定グルメは、来場者の舌を喜ばせるだけでなく、伝統と現代を繋ぐ味覚のシンボルともなっている。
蘇州刺繍のモダンデザイン展示エリア
絹糸の上を細やかな縫い目が踊り、江南の山水や花鳥がまるで時の流れの中に「刺繍」されたかのようである。会場では、蘇州工匠園から招かれた無形文化遺産の代表的な継承者がその技を実演しており、精巧で美しい掛け軸や衣類、アクセサリーの数々が多くの来場者の足を止めさせている。
「蘇州刺繍は単なる伝統工芸ではなく、身にまとえるアートなのです。伝統的な文様に現代のデザインを掛け合わせることで、若い方々にも蘇州ならではの優雅さを感じていただけるよう工夫しています」」と、あるブランドの代表は語る。
会場では、多くの来場者が蘇州刺繍のブローチやスカーフなどの小物を買い求め、「江南の春を家に持ち帰って」いた。
インテリア・生活雑貨エリア
こちらのエリアは、さながら「蘇州式ライフスタイルの実験室」である。ぬくもりのある茶器、清らかな香りを放つ線香、書道をモチーフにした文化クリエイティブグッズや陶磁器の置物など、一つひとつの品に東洋美学への探求が込められている。
「この茶器、とても風情がありますね。シンプルなのに上品です。普段は仕事に追われてバタバタしていますが、こういうのを見ていると、少し立ち止まってゆっくりお茶を淹れるような、暮らしの豊かさを味わいたくなりますね」。茶器を選んでいた若い会社員はそう語る。
鑑賞や購入が可能な展示品に加え、会場での体験型イベントが、無形文化遺産に「命を吹き込んで」いる。
「太湖雪」のブースでは、来場者が自ら昔ながらの糸繰り機を操作し、絹糸の滑らかな光沢を体感できる。また、国家級無形文化遺産の製茶職人・施躍文氏がその場で中国の伝統的な「点茶」の技法を披露しており、澄んだお茶から蘇州ならではの優雅な時間をゆっくりと堪能できる。
「点茶がこんなに奥深いものだとは知りませんでした。見ているだけでは簡単そうなのに、自分でやってみたら一つひとつの所作に意味があるのだと気づかされますね」。体験に参加した大学生の王さんは、そう感嘆の声を漏らす。
4月4日の午後には、蘇州地方の伝統的な弾き語り「評弾」の優雅な音色が蘇州河の畔に響き渡った。チャイナドレス姿の国認定プロ評弾俳優2名が、指先で三弦を弾き鳴らす。名曲「声声慢」の優美で伸びやかな調べに、多くの来場者が足を止めて聴き入っていた。
「蘇州河の畔で聴く評弾は本当に趣があって、まるで江南の水郷にタイムスリップしたかのような気分になります。こうした文化体験は、ただの買い物よりもずっと有意義ですね」。カメラを手に訪れていた写真愛好家の陳さんはそう語る。
「春韻蘇河」は単なるマーケットの枠を超え、文化と商業が深いレベルで融合したイベントである。同イベントは、上海独自の「海派文化」と蘇州の「伝統美学」を巧みに掛け合わせ、「散策と没入体験が実現した」ライフスタイルの実験空間を創り出している。春の味覚から無形文化遺産の手作り体験、インテリアの美学からインタラクティブな催しに至るまで、そのあらゆる場面から、東洋の暮らしの細やかさと奥深さが伝わってくる。
「春の消費」が勢いを増す中、蘇河湾万象天地は「花」をテーマに、「文化」を軸として、文化・商業・観光を融合させる新たなアプローチを次々と切り拓いている。前回のストロベリーマーケットから今回の「春韻蘇河」まで、そして花畑での記念撮影から無形文化遺産体験まで。これら一連のイベントは市民の週末を豊かにするだけでなく、蘇州河畔の「行き交う人」を、実質的な「留まる客」へと着実に転換させているのである。