ゲスト
沈鑫、李濤
背景紹介
今回の番組の結核病予防・抑制・治療の話題について、区マルチメディアセンターの司会者は2人の専門家と一緒に科学普及解答と対話・検討の形式で、大衆に結核病の予防・抑制・治療に関わる知識を普及させ、みんなで共有し、交流します。
司会者:
結核病の予防・抑制・治療の話題をめぐって、今日は2人のゲストといっしょに、視聴者の皆さんと話題を展開・共有し、交流しましょう。こちらに座っている方は上海市疾病予防・抑制センター結核病とエイズ予防治療所の所長、主任医師、修士研究生指導教官の沈鑫医師です。こんにちは。
沈鑫:
こんにちは。
司会者:
次は、国家伝染病医学センター抗酸菌臨床診療部主任で、復旦大学付属華山病院主任医師の李濤医師です。こんにちは。
李濤:
こんにちは。
司会者:
番組の最初にお聞きしたい問題がありますが、我々人類は、結核病とどのくらい戦ってきたのでしょうか。医学考証の観点から言えば、それはいったいどのような発展歴程だったのでしょうか。なぜ今日まで続いてきましたか。
沈鑫:
実は結核病は非常に古い病気で、私たち人類があってから結核病があったと言っても過言ではありません。考古学の過程で発見された多くの人体の骨などの中からも結核病の証拠を見つけることができます。前世紀の中葉から、抗結核薬が次々と出現し、広く応用されながら、私たち人類は結核病との戦いで大きな成果を収めました。全世界での結核病の発病・患者・死亡事例も大幅に低下しました。現在まで、結核病は全世界でも完全に撲滅されておらず、依然として全世界の隅々で流行し、伝播・蔓衍されています。現在、上海は結核病状況が全国で最も低い地域で、世界平均レベルの15%ぐらいです。世界平均レベルの発病率は130/10万ですが、私たちは20/10万ぐらいなので、とても低いです。しかし、我々上海の伝染病の中で、肺結核の甲・乙類法定報告伝染病の中で、肺結核は3位になっています。
司会者:
では、李主任、結核病はいったいどのような病気で、病原菌にはどのような特徴があるか、紹介していただけませんか。
李濤:
結核病は細菌によって引き起こされる病気ですが、この細菌の名前は結核菌と呼ばれます。人が結核菌に感染した後、多くの場合には肺で病気を引き起こします。例えば肺組織、気管、気管支、さらには胸膜など、結核菌に感染して病変が発生しますが、こういう場合、肺結核となります。
司会者:
では、結核病と肺結核は同じことだと見なしてもよろしいでしょうか。
李濤:
肺結核は結核病の一種で、結核病は全身の複数の器官システムに関わる疾患です。分かりやすく言えば、私達の体は、髪と爪を除いた他の器官はいずれも結核病にかかることができます。結核病がかかった器官によって、その名前が変わります。例えば皮膚結核、骨結核があれば、腸結核、腎臓結核もあり、また不妊を引き起こす骨盤結核などもあります。
沈鑫:
結核病は中国で指定医療制度により管理されており、画像学の診断検査、病原学の検査、臨床のその他の徴候などにより総合的に評価・診断することができます。治療は指定病院で専門的に対応しているので、結核病の治療において、指定治療制度が実施されています。上海の各区には少なくとも一ヵ所の結核病指定病院が配置されています。例えば静安区には区級の指定病院として市北医院があり、市級の指定病院である華山病院もあります。だから市民の結核病治療は比較的便利です。
司会者:
李主任、観察によると、初診の症状から結核病と診断されるまで、どのような流れになりますか。そして、確診した後、通常の結核病患者にどのような治療プランを提供しますか。
李濤:
理想的な流れは、結核病の疑いがあったら直接結核指定病院に行って診察し、それから現在の先進的な診療措置を利用することです。これが最も便利な流れです。
司会者:
治療の観点から言えば、一般的に結核病を治療する時、治療方法はどうなりますか。
沈鑫:
普通な結核病の場合、薬剤耐性がなければ敏感な結核病で、4種類の抗結核薬を経口投与する治療コースは比較的長く、少なくとも6ヶ月かかります。薬剤耐性のある結核病のばあい、伝統的プランの時間はもっと長くなります。科学研究の進展に伴い、現在、世界的にも治療の短縮に努めているプランがあります。結核病の薬剤耐性は今でも比較的によく見られています。抗結核薬が幅広く使われるにつれて、細菌もとても賢いものなので、私たちがそれを薬物の経口投与により消滅させたいと思っていれば、それには絶えず遺伝子の突然変異が発生し、薬剤耐性を持つようになります。だから薬剤耐性菌の産生を防ぐために、私たちは患者を治して、伝播させないようにすると同時に、結核病にかかったら、必ず医師の指示に従って薬を飲み、敏感菌を耐性菌にしないように注意することが大切です。
司会者:
では李主任、患者が治癒されたとは、どのように確定しますか。一般的にどのような基準がありますか。
李濤:
まず、中国で規定された治療コースを完成しなければなりません。例えば、肺結核は通常の場合、2ヶ月の強化治療が定められています。一般的に3~4種類の有効な第一線結核薬が含まれ、強化期にさらに2種類の薬を飲んで4ヶ月強化治療を受けなければなりません。治療期間中には、定期的に患者の痰の中の結核菌がすでに陰転しているかどうかをテストし、定期的に胸部の画像学的検査を通じて、もと病気があったところに吸収や石灰化などの変化があるかをかくにんします。最も主要なのは症状が好転しているかどうかを確認することです。
司会者:
実はこの番組の準備中に、私たちはネットユーザーにも意見を聞きましたが、多くのネットユーザーは一つのとても似た質問をしました。とても直接的な質問でもありますが、一言で言えば、結核病は治れるびょうきですか。
李濤:
結核病は治療も予防もできる病気です。治れます。
沈鑫:
規範的な治療さえ受ければ、大多数はやはり治ることができます。全国で少なくとも90%の治癒率に達している。
司会者:
今日は外部からも大物を招待して、オンラインでインタビューをする予定です。みんながとてもよく知っている張文宏医師です。次に結核病の予防治療に関わる張先生のアドバイスを聞いてみましょう。
張文宏:
冬には感染性疾患、例えばマイコプラズマ肺炎、インフルエンザ、肺炎球菌による肺炎などが多発しています、多くの人は冬になるとずっと咳をしていると思っているかもしれませんが、実は冬のある感染性疾病も見落としてはいけません。急性が過ぎた後にある慢性的で、しかも間欠的で、深刻な場合には少し出血もある咳がありますが、午後や夜に目が覚めたら汗をかいているなどの症状も出やすいです。これらの症状はいずれも慢性感染の典型的な症状です。このような場合、皆さんはぜひ病院に行って検査を受けて、結核病を排除しなければならなりません。発熱、持続的な咳、軽度の喀血、痩せなどの結核病に現れやすい症状には日常生活の中で注意し、これらの症状のスクリーニングを急がなければならなりません。
司会者:
この番組を見ている多くの視聴者やネットユーザーのみなさんは、どのように結核病を防止し、感染しないようにすることができるのかに関心を持っていますが。
沈鑫:
結核の伝播経路は呼吸器による伝播であるため、結核病は新型コロナと類似しており、新型コロナの予防・抑制措置が同様に適用されます。例えば公共交通に乗る場合にはマスクを着用することは、他の伝染病や結核病の予防に、確かに一定の役割を果たすことができます。
司会者:
もし家の中に家族や親戚が結核病にかかったら、この場合には家族の世話をしなければならないし、自分をも守らなければならなりません。私たちは個人としてどのように防護すればいいでしょうか。
李濤:
まず、家に確診された結核患者がいるならできるだけ早く規範化された治療を受けるべきです。次に、もし家にすでに結核病患者の分泌物があったり、シーツや布団の上にすでに結核菌の残留や汚染があったりする場合、毎日窓を開けて換気しなければなりません。これは比較的有効な方法です。条件が許されるなら紫外線照射を施したり、天気が良い日に、室外で午前中や午後中シーツや布団を干すこともお薦めします。また、患者に痰がある場合、痰液は容器にしっかり保管しなければならず、どこにでも吐いてはいけません。また、家族がすでに結核にかかった場合、濃厚接触者はいち早く指定医療機構に行ってスクリーニングを行い、すでに感染しているかどうか、あるいは早期に発症しているかどうかを確認し、予防が必要なら予防し、治療が必要なら治療を行いながら、栄養を増強し、抵抗力を高めなければなりません。
司会者:
多くのネットユーザーから彼らが関心を持っているいくつかの話題や質問をもらいました。結核病の伝染性に関心を持っているネットユーザーもいましたが、結核病は罹患期間中に他の人に感染させてしまうのですか?
李濤:
それはないです。結核病は感染した後、潜伏感染状態では結核菌に感染していることが明らかになっていますが、この時点ではまだ発症しておらず、人への感染性もありません。肺の病変を引き起こし、排出された分泌物の中に結核菌がある段階になれば、伝染性がありますが、積極的かつ効果的、規範的に抗結核治療をしばらく受けると、その伝染性が大幅に低下します。
司会者:
潜伏期とはどういうことですか?
沈鑫:
結核病の感染と発病は比較的に複雑な過程で、大部分の健康な人は結核菌に感染しても、あまり発病することがありません。抵抗力が低下したり、感染した結核菌の量が多くて、体によって除去できない場合にのみ発病します。ほとんどの人は一生発病せず、潜伏感染状態のままです。
司会者:
学校の場合、成長段階にある子供たちにとって、結核病の予防・抑制のために、私たちは何をすればいいでしょうか。
沈鑫:
前にもBCGワクチンの保護力は限られていると述べましたが、一般的に12歳や13歳以降、BCGワクチンは基本的に保護力がなくなります。結核病は12歳以降に比較的明らかに高発する小さなピークがありますので、私たちは学生群の中でもずっと重点的に注目してきました。前にも学生の入学健康診断の時に結核病を発見しておらず、学校に持って行って、学生の中で伝播を引き起こした事例を見つけたことがありますので、学校の中ではずっと入学健康診断をしっかり徹底することを非常に強調しています。結核病患者がいることが発見されたら、学生に休学してもらい、家に帰って治療を終えてから正常的に就学するようにしています。
司会者:
結核病患者の治療負担を軽減するため、現在、上海市にはどのような政策があるのでしょうか。
沈鑫:
結核病は重大な伝染病として、実は中国では、上海を含めてすべて減免治療の範疇に属しています。各地方の政策はちょっと異なるかもしれませんが、医療保険あるいは政府の減免清算の政策を通じて、患者は自腹を切って関連費用を支払う必要がないため、患者の負担を軽減することができます。
司会者:
今日は、今までの共有を通じて、結核病の予防治療について更に多くの理解ができたのでしょう。結核病の予防治療の話題をめぐる今回の番組は、ここで一段落しました。みなさん、これからの番組も引き続きお楽しみにしてください。また、スタジオに来てくれた沈鑫医師と李濤主任、共有と交流をしてくれてありがとうございます。
沈鑫:
はい、ありがとうございます。
李濤:
ありがとうございます。