ゲスト
林昱煒
インタビューの背景
2026年は「第15次五カ年計画」のスタート年にあたります。新たな発展の節目に立ち、静安区はどのように「国際静安、卓越都心」という目標を掲げ、上海市の「五つのセンター」建設において主導的な役割を果たし、重要な貢献を成し遂げるのでしょうか。
司会者:
2026年は「第15次五カ年計画」のスタート年にあたります。新たな発展の節目に立ち、静安区はどのように「国際静安、卓越都心」という目標を掲げ、上海市の「五つのセンター」建設において主導的な役割を果たし、重要な貢献を成し遂げるのでしょうか。今回は、静安区民政局の林昱煒副局長、上海市老齢科学研究センター(上海市民政科学研究センター)の殷志剛元主任の2名をゲストとしてお迎えし、静安区の「第15次五カ年計画」期間における高齢者福祉事業の発展に関する全体的な位置づけ、コミュニティの高齢者向けサービスプラットフォームのハブ機能の強化、医療・介護融合モデル「5つのベッド連携」の深化、食事提供サービス「静隣レストラン」の質的向上、高齢者向けサービス人材の育成、多層的かつ多様な高齢者向けサービスの提供などについて詳しくご紹介いただきます。
林昱煒:
皆さん、こんにちは!
殷志剛:
皆さん、こんにちは!
司会者:
2025年末時点で、静安区の戸籍登録総人口は90.11万人となりました。そのうち、60歳以上の高齢者人口は38.00万人で、全区の戸籍登録総人口の42.18%を占めました。65歳以上の高齢者人口は31.16万人で、全区の戸籍登録総人口の34.58%を占めました。80歳以上の高齢者は5.60万人で、全区の戸籍登録高齢者人口の14.74%を占めました。100歳以上の長寿者は534人となりました。全体として、人口密度が高く、高齢化が進み、需要が高いという顕著な地域的特徴を示しています。「第15次五カ年計画」期間中、静安区民政局は区内の全体的な発展方針に焦点を当て、「人民の都市」という理念を徹底的に実践し、高齢者向けサービス発展の方向性を明確にしました。これについて詳しくご説明いただけますか。
林昱煒:
全体的な位置づけとして、今後5年間の取り組みを通じて、2030年までに「国際静安、卓越都心」にふさわしい高齢者向けサービス体制を確立し、静安区の質の高い発展を支える基盤と新たな原動力を構築します。中核的な発展目標として、基本的な高齢者向けサービスの提供を絶えず最適化・質向上させ、誰もが利用しやすい高齢者向けサービスの選択肢を大幅に充実させ、市場主導型の高齢者向けサービスの品質を国際水準に合わせることで、より多くの高齢者が「老後を幸せに生きる」ことができるようにします。全体的な計画・配置として、「楽齢プロジェクト」を軸に、「1つの重点」(資源の配分とサービスの連携に焦点を当て、コミュニティの高齢者向けサービスプラットフォームのハブ機能を強化する)を掲げ、「2つの強化」(コミュニティを基盤として在宅介護の基本機能を強化するとともに、施設介護の専門的優位性を強化する)を牽引し、「3つの融合的発展」(在宅・コミュニティ・施設介護の融合的発展、医療・介護・健康増進の融合的発展、 高齢者向けサービス事業と高齢者向けサービス産業の融合的発展)を加速させ、高齢者向けサービス体系の再構築とサービスモデルの構造転換を持続的に推進し、卓越した現代的な国際都市地区における高齢者向けサービスの「静安モデル」を構築します。
司会者:
現在、静安区では、コミュニティの総合高齢者向けサービスセンター26カ所、高齢者ケアホーム17カ所、コミュニティの高齢者デイサービスセンター29カ所が開設されています。施設の数と配置はいずれも全市でトップクラスとなっています。「第15次5カ年計画」期間中、コミュニティの高齢者向けサービスにはどのような変化が見られるのでしょうか。
林昱煒:
施設設計の面では、コミュニティの総合高齢者向けサービスセンターの質と水準を向上させ、8つの基本サービス(デイケア、食事支援、介護相談、リハビリ用補助具のレンタル、医療・介護の連携、認知症ケア、スマート介護、入浴介助)を完備するとともに、「X」項目の個別化サービスを模索し、「各センターに独自の特色がある」という状態を実現します。また、コミュニティの衛生サービスセンター、学校、文化施設などとの施設資源の共有を推進し、スペースを高齢者向け教育教室や文化サロンなどとして一般公開します。コミュニティの高齢者向けサービス施設では、入浴介助、清掃支援、移動支援、食事配達、病院・通院付き添い、補助具のレンタルなどのサービスの提供を促進し、コミュニティの高齢者向けサービスの形態を充実させます。デイケアや地域密着型向けサービス施設などを統合・最適化し、コミュニティに根差した高齢者向けサービスの均衡がとれたアクセス性を強化します。高齢者施設のサービスをコミュニティへと拡大し、在宅介護用ベッドの整備を推進するとともに、食堂、リハビリ施設、活動スペースなどを公開します。
林昱煒:
デジタル活用の面では、アプリ「楽齢家園」を活用して「医療、食事、生活支援、移動支援、介護、娯楽、学習」という7つの分野にわたるライフサイクル全体の資源を統合し、区内の最新モバイル高齢者ケアマップを搭載します。これにより、ワンタップで老人ホーム、高齢者向け食堂、福祉手当、健康データを検索することができます。ワンストップ式高齢者ケアサービスリソースプラットフォームを構築することで、「単一プラットフォームでの統合、全域での対応、スマート技術による支援」を実現します。最終的には、総合高齢者向けサービスセンターを中核とし、機能的な高齢者施設を支えとし、高齢者支援施設をその延長線上に位置づける「コミュニティ・住民委員会・在宅」の3段階からなるサービス体制を構築し、施設、コミュニティ、在宅の間で統合的かつ一体的な24時間体制の高齢者向けサービスを提供します。
殷志剛:
ハブ機能を強化し、身近な場所で高齢者向けサービス施設を構築します。「第15次五カ年計画」期間中、コミュニティの高齢者向けサービスは「ハード面の整備」から「ソフト面の連携」へと根本的な転換を図り、プラットフォームのハブ機能を全面的に強化します。
司会者:
2022年、静安区は全国に先駆け、「5つのベッド連携」という医療・介護融合型の統合ケアサービスモデルを打ち出し、都心部の高齢者が抱える「受診」「リハビリ」「介護」「終末期ケア」という一連の必須ニーズに対応したことで、広く注目を集め、「静安モデル」の先導力を明確に示しました。「第15次五カ年計画」期間中、この革新的なモデルは再び全面的に改善・向上されるのでしょうか。
林昱煒:
はい、そうです。ベッドの提供範囲がさらに拡大していきます。在宅介護用ベッド、施設介護用ベッド、在宅医療用ベッド、医療用ベッド、緩和ケア用ベッドに加え、デイケア用ベッドや認知症ケア用ベッドを拡充し、「多種のベッドを連携させた」新たな体制を構築します。医療連携がより多様化していきます。「1+1+1」の契約モデル(住民が住所に近い医療施設で家庭医者と契約を結び、かつ自分のニーズに応じて全市に二級病院と三級病院のそれぞれ一カ所と契約を結ぶこと)から「1+1+N」へとアップグレードされます。高齢者施設は、入居者のニーズに応じて、区内の中医院と精神衛生センター、第四リハビリテーション病院など、複数の総合・専門医療機関と契約を結び、中医学によるリハビリテーション、認知障害対策、睡眠障害対策など、発生頻度が高く、高まり続けるニーズに的確に対応することができます。紹介プロセスがさらに効率化していきます。オンライン紹介プラットフォームの機能を充実させ、紹介状の機能を最適化し、健康・介護データの共有を強化します。オフライン紹介体制を標準化させ、プロセスを明確化するとともに、責任の所在を明確にし、フィードバックのクローズループ化を図ることで、ベッド資源の配分をより迅速かつ的確に行い、高齢者とその家族により大きな獲得感を与えます。
司会者:
ご説明ありがとうございます。「静隣レストラン」を中核ブランドとして、静安区では、すでにコミュニティの高齢者向け食堂35カ所、ケータリングサポート施設81カ所を開設しています。1日あたりの食事提供能力は1.71万食に達し、管轄区域内の高齢者が抱える「食事の確保」という問題を効果的に解決しています。「第15次五カ年計画」期間中、食事提供サービスにはどのような改善策が講じられるのでしょうか。
林昱煒:
食事支援ネットワークを拡充し、「政府+企業+機関」による多様な供給モデルを整備し、より多くの優良な飲食企業や高齢者施設が「静隣レストラン」に進出したり、「高齢者向け食堂」を増設したりするよう促し、関連施設の拡大とサービス範囲の拡充を継続的に進めます。食事メニューの多様化を図り、地域の名物料理を提供可能な窓口を増設し、ベーカリーブランドを招き入れ、低糖で高齢者に適した菓子を開発します。また、半調理品や調理済み食品を提供するとともに、オンライン注文とオフライン配食サービスを開始し、メニューに関する意見募集を実施します。革新的なシーン機能を開発し、高齢者向け食堂を単なる「食堂」から「学習の場」「交流の場」「茶館」へと変革し、高齢者向けサービス、商業消費、文化・観光体験を融合させたシーンを拡大することで、サービスのバリューチェーンを伸ばし、高齢者に優しい交流空間を作り上げます。
殷志剛:
要するに、高齢者向け食事サービスの質を向上させ、「静隣レストラン」をより温かく、利用しやすいものにします。「第15次五カ年計画」期間中、食事提供サービスは「お腹がいっぱいになる」ことだけでなく、「美味しく、健康的で、便利な食事」へと全面的にアップグレードされます。
司会者:
現在、全区で介護員は約3000人在籍し、技能等級証の保有率は95%以上に達しています。また、全区の介護員のうち、中級以上の技能等級証を保有する者の割合は30%以上に達し、専門性の高い人材基盤がしっかりと築かれています。「第15次五カ年計画」期間中、静安区は「人材確保の難しさ、人材定着の難しさ、技能向上の難しさ」という課題をどのように解決するのでしょうか。
林昱煒:
育成体制を整備し、「学歴教育+職業教育+継続教育+実習拠点」というモデルを構築します。継続教育を深化させ、静安区の高齢者介護員公共実習拠点を活用して等級別研修、認知症ケア、在宅介護に関する専門研修を実施します。学歴教育を強化し、上海行健職業学院の「スマート健康介護サービス・管理」専攻を支援します。「1+2+N」(中核的な職務能力+特色ある専門分野+多様な職務能力)という育成モデルを採用し、基礎介護、スマート健康増進・介護技術の応用、介護サービス管理などの分野において、複合的な介護スキルを持つ若手人材を育成するとともに、国際交流と産学研(企業、大学、研究機関)の深い融合を積極的に推進します。
林昱煒:
インセンティブと保障を強化し、市レベルと区レベルの二重補助を確実に実施し、機関の実費の50%で研修補助金を出します。職務補助金は資格の等級に応じて、全市の最低賃金の20%~60%を月額で支給します。住宅保障や上海市にやって来た子女への夏休みのケアなど、包括的な支援を強化します。従業員制度による管理、給与の引き上げ、技能コンテスト、資格の直接取得、キャリアプランの策定などを通じて、チームの安定性と帰属意識を高め、専門性と安定性が高く、質の高い介護人材チームを構築します。
殷志剛:
人材チームを強化するため、静安区は包括的な仕組みを通じて人材基盤を固め、高齢者向けサービスの発展におけるボトルネックを解消します。
司会者:
高齢者のニーズがますます多様化・細分化する中、静安区はどのように個別化された高齢者向けサービスの「静安モデル」を構築するのでしょうか。
林昱煒:
まず、誰もが利用しやすいサービス基盤を固めます。高齢者施設の供給における普遍性を強化し、15分圏内の高齢者向けサービス体制を整備します。基本的な高齢者向けサービスのリストを充実させ、支援対象者を的確に特定します。特別な困難を抱える高齢者への支援の範囲を広げ、支援ネットワークをきめ細かく構築します。次に、階層別かつ的確なサービスを提供します。政府は、生活保護や特別困窮者支援など、基本的な保障の最低基準を確実に確保します。中所得層に対し、「政府+市場」のモデルにより、一般サービスの価格を引き下げ、サービスの不足部分を補います。市場主体に対し、より多様で個別化されたサービスの開発を促進し、高齢者層の実際のニーズに応えます。
林昱煒:
さらに、デジタル・スマート技術を活用して効率を向上させます。区レベルのスマート高齢者向けサービス総合プラットフォームを構築し、施設・コミュニティ・在宅というデータ間の壁を取り除き、高齢者のニーズを正しく把握することで、サービスの的確なマッチングと資源の効率的な配分を実現し、高齢者向けサービスを「基本的な介護」から「質の高い老後生活」へと向上させます。最後に、シルバー経済を活性化させます。病院・通院付き添い、入浴介助、福祉車両による移動支援などの新興業態を育成します。「高齢者ケア+」の応用シーンを拡大し、政府・銀行・企業の連携を深化させ、銀行支店に高齢者向けアドバイザーを配置し、高齢者向けモデルルームを設置します。高齢者向けラウンジや高齢者が楽しめる消費・生活圏を構築し、事業者に対して高齢者向けサービスの提供を促すことで、シルバー消費の潜在力を引き出します。
殷志剛:
静安区は、包括的な保障とサービスの質的向上を両立させることに注力し、4つの分野から多層的かつ多様で、ライフサイクル全体をカバーする高齢者向けサービス供給体制を構築し、個別化された高齢者向けサービスの「静安モデル」を確立しています。
林昱煒:
現在、高齢者向けサービスは、「弱点の補強と供給の拡大」から「質の向上と構造の最適化」へと、本格的な転換期を迎えています。静安区は今後も「人民の都市」という理念を指針とし、在宅・コミュニティ・施設が連携し、医療・介護・健康増進が一体化した高齢者向けサービス体制を引き続き整備します。これにより、静安区の高齢者一人ひとりが、慣れ親しんだ街で、幸せで尊厳ある質の高い老後生活を送れるようにし、超大都市の中心部における深刻な高齢化への対応に向けて他地域でも応用・普及可能な「静安モデル」を提供します。
司会者:
貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。本日のインタビューはこれで終わりになります!ありがとうございました。
林昱煒:
こちらこそ、ありがとうございました。
殷志剛:
どうもありがとうございました。